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お気楽島ものがたり

とても気持ちのいい夏の日、ごろっと寝っ転がってぼんやりしながら青い空、青い海、

そして暖かな風を帆に受けながら船で小島をめぐる。

そんな 風景を心の中に浮かべたことがありませんか。

自分だけの南海の孤島リゾート。

私たちの島は誰でも訪れることができて、誰でもすぐに引っ越して来れたりするんです。

それにふしぎなことは、あなたとわたしが見ている風景はちがっているんです。

おんなじ島でいっしょにランチを食べていても、浜辺を散歩していても、同じ待ち合わせ場所で約束しても、

あなたとわたしの気持ちはおなじなのに風景はちがっているんです。でも、それでいいのです。

ほら、ゆうめいな詩人がおっしゃっていますね。

「みんなちがって、みんないい」って。

それがお気楽島です。

このお話は、お気楽島にすむふしぎな島人と、あなたの旅ものがたりです。

さあ、小さな小舟で心の帆に風を受けながら、お気楽島の船着場までやってきてください。

どこからかあまいココナッツの香りとハイビスカスのハッカの香りがするはずです。

島をご一緒にめぐっていきましょう。

​第1回

「おーい、おーい」 青い空と緑の海がハグしているような水平線。真っ白な砂浜の向こうから、3人づれの姿がこちらへゆれながら歩いてくる。 背の高い島のハカセをまん中にして、右がわになおきさん、左にはちょこちゃんがならんでいる。 ちょこちゃんは時おりしゃがみ込むと、砂を右手でかさっかさとかきわけ、桜の花びらのような小さな貝殻をつまみ上げたます。 ハカセは黒縁メガネの中で、小さな目をかがやかせて 「この貝はハート型貝だね」 ちょこちゃんはじっとみて、貝の形が本当にハート形なっていることにびっくりしました。 ちょこちゃん、 「これまではそんなにしっかり見てなかったわ。これってたしかに小さなハートね」 なおきさんがニヤニヤしながら言いました。 「これは失恋貝だ」 なおきさんがちょこちゃんの目の前に手をさし出すと、手のひらの上にはきれいに半分にわれたハート貝がのっていました。 ハカセが「なるほど」というような顔つきでうなづいてしゃがみこんで、砂をかきわけはじめました。そして博士の指先がきらっと光ったかと思うと、何かを指先につまんで立ちあがったのです。 「 ほらこれみてごらんなさい」 ハカセの大きな手のひらのまん中には・・・つづく

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